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膝の痛み

これから先もご自身の足でしっかりと歩いてゆくために、膝関節は何よりも早期治療が求められる部位です

膝は体重による負荷が一気に集中しやすい場所です。しかしながら膝関節周りの筋肉量は少なく、変形などの形状的な異常がとても起きやすい場所となっています。膝関節で起きるトラブルは、スポーツ外傷に関わる疾患も多いことが特徴的です。特に進行性の症状がみられる場合には、それ以上の悪化を食い止めることが何よりも重視されます。重度な変形にいたる前に、適切な診断・治療、根気強いリハビリテーションが求められます。

膝関節のメカニズム

膝関節は、太ももの骨となる大腿骨(だいたいこつ)、すねにあたる脛骨(けいこつ)、“膝のお皿”と称されることの多い膝蓋骨(しつがいこつ)の3種の骨が組みあわさってできています。膝蓋骨は太ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や膝蓋腱(しつがいけん)と呼ばれる腱によってしっかりと固定されるようについています。脛骨の関節部はほぼ平らな形をしていて、その上を大腿骨の丸い先端が転がるようにして動きます。大腿骨と脛骨は大きな4つの靱帯(じんたい)と半月板によってつながれており、安定して関節を曲げ伸ばしできるような構造となっています。関節内部は弾力のある柔らかな軟骨で覆われており、クッションの役割を果たしています。その間には半月板と呼ばれる軟骨組織が介在しており、関節にかかる負担を吸収する役目を担っています。

主な症状

ひざ・足の症状(痛み・しびれ・違和感)

  • 膝を曲げ伸ばしすると痛い ・曲げ伸ばしの際に関節に硬さや違和感を生じる
  • 歩き始めに痛む ・階段の上り下りが辛い ・正座ができない ・立ち上がり時に痛む
  • 完全に膝が伸びきらない ・腫れがある ・膝に水がたまる ・安静時も痛みを感じる

など

膝に起きるトラブルの多くは痛みです。特に年齢を重ねることによって膝周りの筋力が低下してくると骨にかかる負担が増大し、軟骨のすり減りが加速します。それに伴って痛みが生じることがほとんどです。膝内側の軟骨は特にすり減りが起こりやすく、程度が大きくなるほどに徐々に内側に骨が傾き、いわゆるO脚と呼ばれる目に見えた変形を生じることがあります。痛みによって膝の可動域(動かせる範囲)が狭まることで、歩行障害やさまざまな日常生活における動作に支障が現れるようになります。

代表的な疾患

外傷

膝は事故によって特に怪我をしやすい場所です。さらに激しい運動によって筋肉や靭帯等の内部の軟部組織を傷めやすく、痛みを生じやすい場所となります。

変形性膝関節症

膝の骨に変形が起きる病気です。主な原因として加齢や筋肉量の低下などによる軟骨組織のすり減り、肥満や体質的な問題、骨密度低下やホルモン異常などといった複合的な因子の関与が考えられています。軟骨がすり減って骨への衝撃が大きくなると、骨棘(こつきょく)という突起ができ、軟骨の下の部分の骨が硬く(骨硬化)なります。このような骨の変形が進むと、膝が腫れている・太くなるなど、変化が目に見えて分かるようになります。膝関節の内側の軟骨のすり減りが大きくなり内側型変形性膝関節症(O脚)となる場合が多いのですが、関節リウマチや変形性股関節症に伴って外側型変形性膝関節症(X脚)となる場合もあります。

特発性骨壊死

詳しい原因はわかっていませんが、膝関節を構成している骨の内部で壊死を起こす病気です。骨の先端への血流が悪くなることによって骨がもろくなり潰れてゆきます。加齢変化による軟骨のすり減りがひとつの要因として考えられていますが、膝に強い痛みを生じて骨の変形が起こることが特徴的です。

オスグッド病

熱心にスポーツに取り組まれている成長期のお子さんに起こりやすい疾患です。膝の曲げ伸ばしや大きく飛び跳ねる動きで最も使われる筋肉は太ももの前側にある大腿四頭筋です。大腿四頭筋は膝のお皿(膝蓋骨)の前を通り、脛骨粗面に付着している膝蓋腱につながっています。膝関節を曲げ伸ばしする際にはこの大腿四頭筋が大きく収縮するため、骨の付着部となる膝蓋腱が強く引っ張られます。特に成長期では骨や腱の形成が未熟で弱いため、激しい曲げ伸ばし運動が頻繁に起こると腱が剥がれ損傷や炎症が起こります。ひどくなると剥離骨折が起こり、手術治療が検討されます。腫れや熱を伴う強い痛みを生じるため、早期の適切な治療が何よりも求められます。類似した症状に「ジャンパー膝」や「シンスプリント」といった病気が挙げられます。詳しくはスポーツ整形でご相談ください。

靭帯損傷

膝関節は支える筋肉量が少ないため、靭帯にかかる負荷がどうしても大きくなりがちです。そのため傷めやすく、特に激しい動きを伴うスポーツが原因となって靭帯損傷が起きるケースが多くみられます。膝には内側側副靭帯・外側側副靭帯・前十字靭帯・後十字靭帯といった計4つの大きな靭帯があり、損傷が起きた部位によって疾患名も異なります。非常に強い力が加わった場合には複数の靭帯が同時に損傷を受けることもあります。いずれも完全に断裂してしまった場合には手術治療が適応されますが、ほとんどの場合は保存的治療によって症状を落ち着かせる処置が必要となります。

スポーツ整形

当院では提携の高次医療機関と密に連携し、随時ご紹介を行っております

当院では近隣の高次医療機関と密に連携し、手術を要する重症度の高い患者さまの治療はもちろんのこと、さらに専門性の高い治療を必要とされるケースにも柔軟に対応いたしております。スポーツにまつわる怪我は損傷も激しく重症となりやすいため、精緻な診断に加えて、スピード感を意識した質の高い医療のご提供にスタッフ一同努めております。

診断に必要となる各種検査について

レントゲン

関節部の骨に関する異常の有無について詳しく観察することができます。

超音波検査

エコーを用いて膝内部の筋肉の損傷や炎症の有無を確認することができます。

血液検査

関節リウマチや化膿性膝関節炎(細菌による関節炎)など、変形性膝関節症以外の病気と区別するために血液検査を行うこともあります。

MRI

靭帯損傷や軟部組織の炎症、血流の評価などの精緻な分析を得意とします。

治療について

症状や程度によって必要となる治療内容は細かく異なりますが、膝の異常は初期の段階で適切に対処することができれば、重度な症状に陥る前に食い止めることが可能です。特に膝関節の半月板損傷や靭帯損傷などは早期段階での治療が奏功するケースが多くみられます。

薬物療法

消炎鎮痛剤などを用いた投薬治療や、軟骨のクッション性を補填するヒアルロン酸の関節内注射も痛みを抑えるために有効な手段となります。

理学療法や物理療法

効果的なリハビリテーションを用いた治療があわせて必要となります。手術が必要となる場合にも、早い段階から痛みを軽減するための正しい動かし方を確認しながら膝周りの筋力トレーニングやストレッチ、歩行指導を積極的に行います。専門性の高い知識と経験をあわせ持つ理学療法士が、個別治療プログラムを作成し、マンツーマンで手厚くご指導いたします。

装具治療

膝関節への負担を軽減するために専用のギプスやサポーターの装着、足底板(インソール)を利用した体全体にかかる荷重バランスの調整などが細かく行われます。

Q.レントゲン検査とMRI検査では何が違うの?

A.整形外科における疾患は大きく「骨に関する異常」と「靭帯・腱・筋肉などの組織内で起きる異常」の2種に分けられます。主に骨で生じる異常を分析する能力に長けているのがレントゲン検査です。人体への害も少なく、骨の形質的な問題をスピーディーに把握することができるため、診断にかかる時間を大幅に短縮できることが最大の強みです。さらに膝関節においては機能的な問題の有無を確認することがとても重要となります。レントゲン検査ではさまざまな角度に膝を曲げて内部の骨の動きを詳しく観察することができます。複雑な動作においてもレントゲン検査では連続した撮影が可能なため、どのような動きをした際に痛みを生じるか、患者さまの声をリアルタイムに反映することができます。一方のMRI検査では靭帯や腱、筋肉などといったレントゲンでは映らない軟部組織を可視化し、内部的な異常を明らかにすることができます。半月板や靭帯の損傷などはMRIとの併用を通じて精緻な診断を行うことが可能となります。

姿勢改善や正座を控える生活など、無理なくできる工夫を積極的に取り入れて―

普段からの歩き方の癖や生活習慣も、膝関節のトラブルを引き起こす大きな原因のひとつとなる可能性があります。正しい姿勢を見直すことや、日常生活における動きの改善を行うことはとても重要となります。特に大きな負担をかける動作のひとつに正座が挙げられます。なるべく正座を控える生活を心がけてみたり、骨にかかる負担を和らげるために減量や筋力アップも有効な取り組みとなります。ご自分の足で一生元気に歩き続けるためにも、脚そのものの持つ筋力維持はこれからのとても重要な課題となります。当院では、理学療法士による豊富な知識に基づいたさまざまなリハビリテーションを展開いたしております。膝に違和感を生じたら、何よりも早期に一度当院までご相談ください。

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